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熊谷 友多; Fidalgo, A. B.*; Jonsson, M.*
Journal of Physical Chemistry C, 123(15), p.9919 - 9925, 2019/04
被引用回数:20 パーセンタイル:63.7(Chemistry, Physical)ウランの酸化還元による化学的な変化は環境中のウランの動態を支配する重要な反応であり、特に4価の二酸化ウランが6価のウラニルイオンに酸化され水に溶けだす反応は使用済燃料等の環境中における化学的な安定性を評価する上で重要な反応である。この酸化による二酸化ウランの水への溶出について、二酸化ウランの過定比性の影響を調べるため、過酸化水素および線照射による反応を調べ、定比のUOと過定比のUOとの間で反応挙動を比較した。その結果、定比のUOは酸化還元反応に高い活性を示し、表面の酸化反応は速やかに進み、酸化反応の進展とともに徐々にウランの溶出が加速されることが観測された。一方で、過定比のUOは反応性は低いものの、酸化反応が生じると速やかにウランが溶出することが分かった。また、過酸化水素による反応と線照射による反応を比較した結果、ウランの溶出ダイナミクスは酸化剤の濃度に依存して変化することが分かった。そのため、使用済燃料等で想定される放射線による酸化反応を検討する場合、高濃度の酸化剤を用いた試験では、ウランの溶出反応を過小評価する可能性があることを明らかにした。
熊谷 友多; Fidalgo, A. B.*; Jonsson, M.*
no journal, ,
水の放射線分解および過酸化水素への暴露による二酸化ウランの溶解反応の動力学について、二酸化ウランの過定比性が及ぼす影響を研究した。二酸化ウランの酸化反応による水への溶解は、使用済核燃料の直接地層処分や、燃料損傷による冷却水への直接暴露の際には起こり得る。既往の二酸化ウランの溶解に関する反応動力学研究では、ウラン酸化物の過定比性が溶解挙動に与える影響について十分に検討されてこなかった。そこで、本研究では定比の二酸化ウランおよび過定比の二酸化ウランの溶解挙動を比較した。その結果、定比と過定比の二酸化ウランで全く異なる溶解挙動が観測された。過定比の二酸化ウランでは酸化反応はゆっくりと進み、反応に伴ってウランの溶出が進行した。一方で、定比の二酸化ウランは過酸化水素と速やかに反応するが、ウランの溶出はあまり起こらなかった。しかし、定比の二酸化ウランの酸化反応を進めると、過定比の二酸化ウランに類似の反応性を示すようになることが分かった。